11/30/2017

アインシュタイン

理系の道に進んだので物理の授業でアインシュタインの有名な E=mc を学びました。
1905年アインシュタインが26歳の時に導き出したエネルギーと物質の質量との関係が光の速さだけでシンプルに美しく表させるという公式です。
昔のアメリカのテレビドラマ Twilight Zone(ミステリーゾーン)の冒頭のナレーションの画面でも、背景にこの式が出てました。
授業では難しい話ばかりで、もっとアインシュタインとはどんな人物だったのか、といった話も聞かせてくれれば、もう少し理解も深まっていたはずなんですが…。

ということで購入したのが今回紹介するこの2冊です。
一冊は写真が中心、もう一冊はマンガです

●フランソワーズ・バリバール アインシュタインの世界(創元社)
●渡辺正雄・金子務 人間アインシュタインと相対性理論(講談社)


難しい数式も、写真やマンガなら美しいデザインに見えるから不思議です。
20世紀初めに導き出された式が原子力エネルギーの基礎になり、それは戦争に使われたこともあったものの、平和的に利用されているおかげで今の快適で便利な私たちの生活があると思います。




と、ここまで写真とマンガでだいたいアインシュタインの人となりを理解して、もう一冊。

●ポール・ストラザーン 90分でわかるアインシュタイン(青山出版社)

この本には図や写真は無く、上述の本と同様の内容が100ページほど記述されています(同じ人の生涯を書いたので同様であるのは当然ですが)。
しかし、さすが「90分でわかる」の名前の通り、巻末に「キーポイント」として、論文のポイント、名言集、アインシュタインに対する著名人のコメントがまとめられていて、知ったかぶりをするにはベストです。

11/29/2017

昭和の事件

昭和の半分くらいの頃に生まれた私は、ちょうど昭和と平成を同じくらい生きてきたことになります。
昭和の前半は全く知らないわけですが、平成と昭和、どちらを選ぶ?と聞かれれば、やっぱり昭和の方に軍配をあげてしまいます。

昭和が遠くになるにつれて、自分の記憶もだんだんモノクロームになってきます。
実際、テレビも写真も白黒が主流で、家の中も街中も今ほど明るくなかったので、当時の世の中そのものなのかもしれませんが。
昭和の事件というとやはり「未解決」とか「謎」というイメージがあります。
そういうわけで、この手の本はつい手を出してしまいます。

下山事件は、浦沢直樹さんの「BILLY BAT」にも取り上げられていましたね。ケネディ大統領暗殺事件も取り上げられてましたが、私も両事件が昭和時代を代表する謎の事件だと思います。


11/28/2017

東京裁判

今日は、文庫本3冊。
ここ2、3日太平洋戦争関係の本を紹介しましたが、その流れで東京裁判関係の文庫本2冊と、ちょっと毛色が変わりますが「オペラ座の怪人」です。

●清瀬一郎 秘録 東京裁判(中央公論新社)
●城山三郎 落日燃ゆ(新潮社)
●ガストン・ルルー オペラ座の怪人(角川書店)

「秘録 東京裁判」の著者の清瀬一郎さんは東京裁判での東条英機の主任弁護士を務めた方で、まさに裁判の当事者による記録です。
被告を含めた関係者それぞれの行動や、それらに対する著者の分析が精緻にまとめられています。
一方、城山三郎さんの「落日燃ゆ」も東京裁判を題材としたものですが、もちろん著者が当時直接裁判に関与していたわけではなく、著者の時間をかけた取材、調査に基づくものです。
著者は東京裁判で絞首刑を申し渡されたA級戦犯7人のうち唯一文官であった広田弘毅に焦点を当てました。
記録というよりは、やはり広田の生きざまをテーマに描かれた作品だと思います。

「オペラ座の怪人」は、文庫本で前者2冊と一緒に写真を撮ってしまったので、ちょっと仲間外れ的になってしまいました。
息子がNYでミュージカルを見てきたというので、どんなストーリーなのか興味を持ったので読んでみました。
息子は「よかった、よかった」と言ってましたが、文庫本の文字だけだと、残念ながらその感動が私にはなかなか伝わってきませんでした😞


11/27/2017

死刑囚の記録

●加賀乙彦 死刑囚の記録(中央公論社)

この本はなぜ買ったのか思い出せません。
東京裁判、A級戦犯などの本を読んだ後に、タイトルを見て買ったのかもしれません。

著者は精神科医で、死刑囚と面談し、記録したものです。
境遇という言葉が適当なのかどうかわかりませんが、自分とは違う世界を記したもので、なかなか自分と共有できる部分が少なく、理解が難しいと感じたような気がします。

11/26/2017

不許可写真

戦争中の情報統制に興味があったので読んでみましたが、あまり気分がいいものではありませんね。

●草森紳一 不許可写真(文藝春秋)

ネット時代になって、発信したい情報はいつでも好きに出せるようになりましたが、でも所詮、発信する側の視点でフィルタをかけてしまっていますよね。
最近マスコミの偏向報道などが話題になっていますが、情報発信を職業にしているのが個人でなく組織であれば、大差が無いようにも思えます。


11/25/2017

戦後生まれの私が体験していないこと

戦争のこと、日本軍のこと、終戦後の日本。
体験していない私には、書物で知るしかありません。

私の両親は昭和一桁生まれですが、既に他界していて、直接当時の話を聞くことができません。
もっといろいろと話を聞いておけばよかったな、と思います。

●佐治芳彦 太平洋戦争の謎(日本文芸社)
●常石敬一 七三一部隊(講談社)
●藤原帰一 戦争を記憶する/広島・ホロコーストと現在(講談社)
●小林弘忠 巣鴨プリズン(中央公論社)

1990年代後半から2000年に入った頃に読んでいました。

11/24/2017

微笑み

とりあえず、絵画関係の本の整理は今回で終了。

●布施英利 「モナリザ」の微笑み 顔を美術解剖する(PHP研究所)

モナリザは多くの謎をもった絵だといわれていますが、この本はモナリザの顔の目、鼻、口などのパーツごとに分析することから始め、「微笑み」にメスを入れた本です。







著者のプロフィールが珍しいですね。
・東京藝術大学美術学部芸術学科卒業
・同大大学院研究科博士課程(美術解剖学専攻)修了、学術博士
・東京大学医学部助手(解剖学)を経て、現在は東京藝術大学准教授。

美術と医学の両方にかかわって来られたというのは、まさにダ・ヴィンチのようですね。
(手塚治虫さんも同じかな?)

11/23/2017

パリの美術館、東京の美術館・博物館

今日は美術館、博物館の本。

●星野知子 パリと七つの美術館(集英社)
これは、ただ一言羨ましい、という感じですね。
パリの美術館を時間をかけてゆっくり巡ってみたいものです。
本の中で、ギュスターヴ・モローの「出現」について語られています。
「出現」は新約聖書のヨハネ斬首にかかわるサロメの舞を題材にした作品です。
「出現」は二枚あり、一枚はモロー美術館の油彩画で未完のもの、もう一枚はルーブル美術館の水彩画でサロンに出品されたもの。
これら二枚の絵がカラーで見開きページに並べて掲載されていて、サロメの表情、ポーズ、宙に浮いたヨハネの表情などの違いについて著者の印象が語られています。
著者のおっしゃる通り、二枚の絵のサロメはまるで別人に見えます。

●東京散策倶楽部 タダで入れる美術館・博物館(新潮社)
パリの美術館を制覇するのはとても無理ですが、いい本を見つけました。


11/19/2017

春画

西洋絵画から今度は日本に目を向けて…春画です。

●白倉敬彦 新版江戸の春画 江戸人の性愛を描く(洋泉社)
●白倉敬彦 春画の謎を解く(洋泉社)
●田中優子 春画のからくり(筑摩書房)
●田中優子 江戸百夢 近世図像学の楽しみ(筑摩書房)



いずれも白黒の新書、文庫で、画集ではありません。
春画の歴史的な生い立ちや、いろいろな作品の解説、当時の生活、風俗など、美術、歴史、社会学の解説本です。

これらの本を読むまで、北斎とか豊国、国芳といった浮世絵画家が春画も描いていたとは知らず、驚きました。

最後の一冊は、春画だけをテーマにしたわけではないのですが、江戸時代の絵画、版画、のれん、着物、手拭いなどのデザインについてエッセイ風にまとめられています。
この本を買った後に、広重の江戸百の本を買いました。本を読むと、そこから次の興味が広がっていきます。

11/12/2017

ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」はなぜ傑作か?

●高階秀爾 ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」はなぜ傑作か?(小学館)

この本は、カラー写真が豊富で、聖書の中のいろいろなテーマごとに、様々な画家の作品を比較しながら解説してくれます。

同じテーマであってもその時代の背景、画家の考え方などによりそのとらえ方も異なり、また、描き方も異なるんですね。

また、私たちが本などで目にする作品も、それに至るまでにいくつもの習作を経て出来上がっていることも、紹介されています。名画になるべく出来上がったということもよくわかります。

名画にはなかなか直接目にする機会もなく、まれにそういう機会に恵まれても、その絵の意味するところ、画家がどんな考えで描いたのかなどを知って見るのとそうでないのとでは大きな違いです。
そういう事前知識なく、見たままに感じるのがよい、といった考えもあるかもしれませんが、私は、絶対に事前準備をして、絵の隅々まで目を凝らして鑑賞したいですね。

著者の高階先生はこの本だけではなく、誰も知らない「名画の見方」という本も書かれています。1932年生まれですのでずいぶんご高齢ですが、もし講演会などの機会があればぜひお話をお聞きしたいです。

百鬼夜行絵巻

●小松和彦 百鬼夜行絵巻の謎(集英社)
この本は読みごたえがありました。

まず、絵巻を広げた状態の写真で絵巻の全体像が一望でき、そして一匹(一人?)ずつ鬼(妖怪)の姿も解説されていることがいいですね。
とってもユニークで愛嬌のある妖怪のパレードです。



そして、やはりこの本の素晴らしいのは、数ある百鬼夜行絵巻(世界でたった一つの作品ではないんですね)を比較して、様々な分析をされていることです。
こういうお仕事は私は大好きで、また、そういうことに取り組まれる方をとても尊敬します。

小松和彦さんの著書には「妖怪 YOKAI」(KADOKAWA)という文庫本もあります。
こちらは、百鬼夜行絵巻に出てくる妖怪はもちろんのこと、北斎、国芳などが描いた妖怪もたくさん出てきます。
文庫本ですが、ページいっぱいの写真が中心で、老眼の私でも今でも十分楽しめるので、当分手元に置いておくつもりです。


11/10/2017

岩佐又兵衛~北斎・豊国・国芳

岩佐又兵衛の名前を知ったのはテレビ東京の「美の巨人たち」だったと思います。
いつ頃だったのかな、とネットで検索すると、2006年1月15日のようです。
(参照:美の巨人たち:岩佐又兵衛「山中常盤物語絵巻」

その後、しばらくして書店で見つけたのがこの本です。

●辻惟雄 岩佐又兵衛 浮世絵をつくった男の謎(文藝春秋)


テレビで見たときは、どちらかというと絵巻物全体の「大きな作品」という印象が強かったと記憶していますが、この本は作品の部分を取り出し、拡大して解説しています。
江戸時代初期の画家ですが、現代のマンガに通じるようなタッチも見られ、面白いですね。


辻惟雄さんの本をもう一冊。

●辻惟雄 奇想の江戸挿絵(集英社)
前述の岩佐又兵衛の本を読んでから、江戸時代の画家の作品に興味を持ち、そして見つけたのがこの本です。
時代は江戸後期に下り、北斎、豊国、国芳などの作品が扱われています。
浮世絵がこんなに迫力があり躍動感があることを知りました。
私は国芳ファンになり、Pinterestで国芳の作品を集めています。

11/09/2017

ブリューゲルへの旅

ブリューゲルの作品は「ウォーリーをさがせ!」に通じるところがありますね。
見ているだけでも楽しくなりますが、やはり解説本を読んで、細かく描写された当時の人々一人ひとりの仕草とその意味などがわかると、いっそう楽しくなります。

ブリューゲルの作品を解説したもので、「ブリューゲル・さかさまの世界」(カシュ・ヤーノシュ編 早稲田みか訳 大月書店)があります。
この本を読んでブリューゲルにはまっていた頃、書店で「ブリューゲルへの旅」を見つけました。

●中野孝次 ブリューゲルへの旅 (文藝春秋)

最初は、先の本と同様のブリューゲル作品の解説本だと思ったのですが、そうではなく、ブリューゲルの作品を実際に見て、感じた印象、それから想起される思い出などをエッセイ風にまとめた、どちらかというと文学作品ですね。





1960年代中頃、著者が41歳の時に初めての海外生活となるウィーンの美術館でブリューゲルの作品に出会い、それ以来「ブリューゲルへの熱中はつづいていて…たぶん全部見て回ったと思います。」とあります。

今年の4月から7月まで、東京都美術館で「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展」が開催されました。
ブリューゲルの作品を直接目にできる貴重な機会でしたが、仕事が忙しすぎてチャンスを逃してしまいました😢

11/08/2017

猫画家 ルイス・ウェイン伝

19世紀末から活躍したイギリスの猫イラストレーターのルイス・ウェインの生涯と作品を紹介した本です。

●南條竹則 吾輩は猫画家である ルイス・ウェイン伝(集英社)

擬人化された猫のイラストを目にした方も多いと思います。
しかし、彼の晩年の様子を読み、そしてその頃の作品を見ると、楽しい猫の世界とは別世界の厳しい人生を送られたことがわかります。
全ページカラーで、一コマ漫画としても楽しめました。1世紀も前の作品とは思えません。

11/07/2017

フェルメール

今日はフェルメールの解説本です。

フェルメールにはかなり前から興味を持っていました。
残っている作品の少なさ、非常に精緻なタッチなどに惹かれたのはもちろんですが、古地図ファンの私にとって、特に背景に描かれた古地図(描かれた当時は最新地図です)は本当に素晴らしいと感心します。
絵の脇役なのに、こんなに細かく正確に描くなんて、相当の観察力があるのだと思いました。

●宮下規久朗 フェルメールの光とラ・トゥールの焔(小学館)
●小林頼子 フェルメールの世界(NHK出版)
●朽木ゆり子 フェルメール全点踏破の旅(集英社)


朽木ゆり子さんのフェルメール全点踏破の旅は、全世界に散らばっている三十数点のフェルメール全作品を一気に訪問しするという、羨ましい限りの旅です。
新書版で全ページカラーなので、この本だけはしばらく手元に置いておこうと思います。
いずれ仕事も終えたら、このうちのいくつかを回ってみれたらいいなと思います。



●フランク・ウイン 私はフェルメール 20世紀最大の贋作事件(ランダムハウス講談社)



細野不二彦さんのギャラリーフェイクにもフェルメールを題材にしたお話が出てきます。
たしか、その中にフェルメール作品の贋作の話があったと思います。
私は、メーヘレンの作品を見てもフェルメール作品の印象を全く感じないのですが、いかがでしょうか?


11/06/2017

ワケありな名画/誰も知らない「名画の見方」

絵画の解説本の続きです。

●沢辺有司 ワケありな名画 名画31点の裏鑑賞会(彩図社)
オフィーリアの表紙と刺激的なタイトルで思わず購入してしまいました。
「事件」「恐怖」「捏造」「謎」という4つのテーマで31点の名画が解説されています。
本文はすべて白黒で、カラー写真がないのがもったいないですね。

●高階秀爾 誰も知らない「名画の見方」(小学館)
これはフェルメールの 「真珠の耳飾りの少女」の表紙で買いました。
フェルメールの本を見つけると読んでいたので。
フェルメール本は次回…。



11/05/2017

絵画解説本 

中野京子さんの「怖い絵」シリーズに続いて、いくつか絵画の解説本です。
こういう解説本から、新たに気になる絵が見つかったりします。
そして、そういう絵が日本の美術館に来たりすると、本当にうれしいですね。

●日本博学倶楽部「世界の名画」謎解きガイド(PHP研究所)
●千足伸行6つのキーワードで読み解く西洋絵画の謎(大和書房)














●木村泰司名画は嘘をつく名画は嘘をつく2(大和書房)

11/04/2017

本の整理を再開しました 

忙しくてしばらくこのブログも家の片付けも滞っていましたが、少しずつまた再開しました。

最近老眼の進行が著しく、通勤時はもとより明るいところで読むのはかなりきつくなってきました。
老眼のつらさは、やっぱりなってみないとわかりませんね。

国内外の絵画に興味を持っていたので、いろいろと解説本を求めていたのですが、手放すことにします。障害をもつ方たちが運営するリサイクルショップにお譲りします。

●中野京子さんの「怖い絵」
「怖い絵」で人間を読む(NHK出版)、新 怖い絵(角川書店)です。
この本を読むまでは、どちらかといえば、絵は画家のテクニックを中心に見ていたような気がします。
一枚の絵の持つ背景や意味、そういうものを理解して見ると、全く違う楽しみができるということを教えてもらいました。
今、上野で「怖い絵」展やってますね。
ものすごく混んでいるようですね。チケット買うだけで20分も並ぶという話も聞きます。
12月までなのでぜひ行きたいと思います。


しばらく、絵画関係の本の話を続けます。