12/29/2016

祖母の桐箪笥

平成2年の夏、私の祖母が亡くなりました。
遺品の一つに桐の箪笥がありました。
おそらく大正の中頃、嫁入り道具として持参されたものだと思います。

その後、家を取り壊し、遺品の多くも処分しましたが、この箪笥だけは物置の隅に置き、のこぎり、金づちなどの大工道具や、園芸用品などの物入れに使っていました。

しかし、物置と言っても半分屋外に置いてあるのと同じで、十数年が経つと相当痛んできたので、とうとう分解して処分することにしました。

釘抜きなどを準備して解体しようとしたのですが、外側からは釘の頭が見つかりません。おそらくダボを使った接合でもしているのかな、と思いながら板を外してみると、なんと木製の釘が使われていました。



ダボの一種と言えばそうなのかもしれませんが、寸法がバラバラなので箪笥職人さんが一本一本手作りで作ったのだろうなと思います。

爪楊枝よりも少し長く太めですが、先端は触ると痛いくらい尖がっています。
材質はよくわかりません。
板材よりは固いものが使われていると思います。

今も大正時代と同じ工法が使われているのでしょうか?
伝統工芸にこういう技術が伝承されていると嬉しいですね。