次第に雨と風の音が大きくなってきました。
一応、昼の間雨が降ってくる前に、家の周りを見回り、風で倒れそうなものは養生しておきました。
さて、今日も父の土木関係の書籍の紹介です。
9月17日、9月25日のブログの続きです。
これらの専門書は私が持っていても価値がなく、いずれは処分することになります。
もし、このブログを見て、気になる本がありましたら、コメント欄を使ってご連絡ください。(コメントは直ちに公開はされませんのでご安心ください。)
年末には処分いたしますので、ご了承ください。
今回はこの4冊。
農業土木というよりも、ダムや鉄道・橋梁などいわゆる土木工学の図書が中心です。
父は学校を卒業した後は、鉄道、橋梁関係の仕事に就きました。
今回紹介する図書の発行日からみても、仕事に関連する図書を購入したのだと思います。
●土木工学難問疑問解答集 第1集
【著者】東京工学研究会
【発行】1954/06/10 (初版1954/06/10)
【出版社】鉄道図書局 【定価】¥180
本書をインターネットの「国立国会図書館デジタルコレクション」で検索したら、
この資料は、著作権の保護期間中であるか、著作権の確認が済んでいない資料のためインターネット公開をしていません。閲覧を希望される場合は、国立国会図書館または図書館送信参加館へご来館ください。となっていて、インターネットでの公開はなされていないようでした。
●佐久間ダム―その歴史的記録
【著者】長谷部成美
【発行】1956/07/15 (初版1956/07/15)
【出版社】東洋書館 【定価】¥270
この本はざっと目を通しました。著者は日経新聞記者で入社以来電力を担当され、入社後5年目でこの本を出版されました。単なる建設記録ではなく、戦後の電力改革、プロジェクト立ち上げの経緯、政界の動き、水車・発電機の国際入札の裏側まで、新聞記者として自ら収集した情報をもとに書き上げたもので、NHKのプロジェクトXにつながるところがあります。
●「ウエルポイント工法」
【著者】瀬古新助
【発行】1956/12/25(初版:1956/12/25)
【出版社】理工図書 【定価】¥180
著者は、戦後日大教授から戦災の復興や人材育成を目的にコンサルタント会社を興した方で、この本のタイトルである「ウエルポイント工法」を導入されました。ウエルポイント工法は掘削工事の際に地下水位を低下させる工法です。この本の序文には次のように書かれています。
ウエルポイントによる強力な地下水低下法は、強力な土工機械の性能を最高度に発揮させるための必須の条件として、或は地盤の安定強化と工事の保安のために燎原の火の如く急速に普及しつつある。著者が日本で初めて施工したのが1953年で、そのわずか3年後にこの本が出版されました。その時点で著者本人が「燎原の火」のようだと感じていたのですから、その工法の有効性は充分検証されたものだったと思われます。
●黒部渓谷
【著者】冠松次郎
【発行】1957/03/20 (初版1957/03/20)
【出版社】朋文堂 【定価】¥280
最初にこの本を手にした時、上に書いた「佐久間ダム―その歴史的記録」と同様に黒部ダムをテーマにした本だと思ったのですが、そうではありません。黒部を愛した登山家がダムができる前の黒部渓谷の素晴らしさを記したものです。黒部ダムの着工が1956年で、ちょうどその翌年に出版されました。きっとダム建設で黒部の自然が失われることにいたたまれなかったのだと思います。「はしがき」の一部を紹介します。
黒部渓谷も水力電気の施設が進むに連れて、下流から逐次、著しくその景観を害われてしまいました。さらに本年からは、黒部の核心地帯である下廊下の絶勝がいよいよ水力電気の工事現場となります。(中略)したがって五年後工事完成の暁には下廊下の水は激減し、反対に上流に大瀦水池を現出することになり、原始的の雄黒部は人工的瀦水池と荒れ壕の連続化することになると思います。(中略)この小著もやがて変貌する黒部の中心地帯のありし昔の美貌をしのぶ一つのしるべとなり、同時にまた日本にかえがたい大自然の成せる国宝を失う哀歌ともなりましょう。夏の間だけ、関西電力社員以外は限られた人数しか訪れることのできない黒部川第四発電所の見学会に私は以前参加したことがあります。発電所に至るまでの景色に、日本にこんなに人の手の入っていないところがあったのか、といたく感動したものです。しかし、今の我々の世代には想像もできないようなさらに素晴らしい壮大な自然があったのでしょう。
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