今日ご紹介するのは、川口が市制施行されたことを記念した絵はがきです。発行は川口市です。
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中には7枚のモノクロのはがきが入っています。
川口に市制が施行されたのは昭和8年(1933年)です。
●川口市役所
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市制施行当初は、旧川口町役場庁舎が使われていたようで、その当時の庁舎の写真です。
現在の栄町公民館(川口市栄町3-11-24)のところで、その後昭和10年(1935年)に現在の庁舎のある場所(川口市青木2-1-1)に移転されました。
●川口市栄町通
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これは、今の栄町公民館前を東西に走る通りでしょうか。
着物姿の人たちが大半で、洋装の人がポチポチという感じです。
自転車に乗っている人もいます。
駅に近いということもあるのでしょう、右側には立派な洋風の建物が立っています。
入口の上部にこの建物の名前が書かれているようですが、読み取れません。
通りの左側には、手前に福助足袋の看板のある「つるや」という足袋・洋品屋さんがあって、電柱には「平民食堂」の看板が見えます。
今でも、ここで商売を続けているお店がどのくらいあるのでしょうかね?
左のビルには高島屋のマークと「高島屋十銭二十銭ストア」という書かれた大きな看板があります。
川口にも高島屋があったのかと思い、ネットで調べてみたら、mak**756*000さんのブログ「★川越スケッチブック-埼玉都民の川越暮らし」に詳しく書かれていたので、引用させていただきます。
100円ショップや99円ストアはいまやあちこちにありますが、そのルーツは戦前に遡ります。昭和6年に高島屋デパートが「高島屋十銭二十銭ストア」を設立してチェーン化したのが嚆矢です。デパート内に均一売場を設けていろいろリサーチし、その結果を踏まえてデパート以外の場所に出店したのです。東京では銀座・渋谷・日暮里・大塚・高円寺・亀戸・五反田・小山・池袋など、近郊では桐生・足利・高崎・川口などにあり、主にサラリーマンや工場勤務の人たちが多く住む地域を狙って出店したようです。扱い商品は食料品・日用品・洋品類など数千品目に及びました。のちには「高島屋十銭二十銭五十銭ストア」となり、諸般の事情で昭和7年以降は出店が中止されました。
●川口市本町通市街
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これは、川口駅から南東方向へ延びる今の産業道路でしょうか?
建設工事のためのクレーンだと思いますが、かなり大型のものが設置されています。
道路の右側手前には、ユニオンビールの看板が。
「福田屋酒店」と書いてあるように見えます。
川口駅の近くには「ユニオンビール」の工場がありましたので、この店で買えば出来立てのビールを楽しめたことでしょう。
電柱には、「内田病院」「石森医院」などの看板が見えます。
今でも、開業しているのでしょうか?
酒屋さんの向かいの建物には「森永の菓子」と書かれています。
お菓子屋さんなのか、食料品屋さんなのかはわかりません。
店の角には「甲州入墨」の看板が見えます。
今のネット世界というのは、素晴らしいですね。
検索するとヒットしました。
確かに写真の看板を拡大鏡でよく見ると「坂東好太郎」「飯塚敏子」の文字が読み取れます。甲州入墨
製作=松竹キネマ(下加茂撮影所)
1932.08.26 帝国館/新宿・麻布松竹館/京橋新富座
7巻 白黒 無声
監督 ................ 秋山耕作 脚本 ................ 水門王吉 原作 ................ 水門王吉 撮影 ................ 森尾鉄郎 出演
................ 坂東好太郎 飯塚敏子 井上久栄
さらにこの二人はWikipediaにも掲載されていて、後に結婚されたんですね。
ちなみに、以前紹介した「昭和8年発行 川口市勢要覧」によると、当時の川口市の活動写真館は3つあり、 定員2,100人、従業員45人、入場人員2,586,000人とのことです。
入場人員はかなりのものです。年間3つの映画館で約259万人。
映画館1館で年間300日営業するとして、毎日2,800人以上のお客様が鑑賞していた勘定です。
最近の映画館の1館当たりの入場者数がどのくらいなのか知りませんが、平均して1日2,800人も入っているようには思えません。
とすれば、昭和初期の映画(活動写真)人気というのはすごかったのですね。
●川口名所荒川放水路
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今の景色は、昭和初めには出来上がっていたんですね。
●川口神社
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ネットで現在の写真を見た限りでは、本殿の姿は変わっていないように見えますが、どうなんでしょうか?
●川口名所前川観音、川口名所善光寺
●勢貴神社
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この2枚には、それぞれ5名の紳士が並んで写っています。
同じ方々のようにも見えますし、そうでないようにも見えます。
川口町など4つの自治体が合併して川口市になったので、各首長さんが記念に写ったのかもしれません。