表紙 |
裏表紙 |
大正末期から昭和初期の当時の文献や地図があれば出ているかもしれません。
序文が洒落ています。
「大正十四年倚夕凉の窓邊に」
私はこれまでこのような表現に出会ったことがありませんが、「倚」という字は「よりかかる」という意味があるようですので、夕涼みをしながら窓辺に寄りかかりながら序文を書かれたのでしょうか。
素敵な表現ですね。
序文にあるように「口は身体の関門」ということから、単に虫歯の予防の話だけではなく、食物の消化、文明と口腔・口腔臓器の変化、口の中の疾病、顎の骨の疾病、さらには性病(花柳病)から来る口腔疾患といった話から始まり、最後に予防法として歯ブラシ(歯刷子)の使用法、歯磨粉の選び方、楊枝の使い方、うがいの方法などが解説されています。
時代の変遷とともに歯磨きのやり方も変化してきていると思いますが、この時代では「研磨」という言葉が何度も出てきます。歯茎を研磨しないように「歯に沿うて上下に研磨する必要が有ります」「歯列の内外並に頭部をも充分研磨せねばなりません」という感じで指導しています。
大正末期から昭和の初めにかけて歯磨きの風習がどれだけ広まっていたのかわかりません。
序文の中ほどに「いささか欲するところの要を摘んで本書を編纂いたしました」とあります。
地元の皆さんの歯を診て、口の中の衛生状態に気を配り、健康を維持するために、啓蒙活動に取り組まないといけないとお思いになられたのではないでしょうか。
裏表紙を見ると「非売品」と書かれているので、大久保先生が自費でこのような啓蒙活動にご尽力されたのだと思います。素晴らしいことです。
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