5/29/2011

平凡社 「家庭の百科」

今日は天気も悪いので,野菜作りはひと休み。久しぶりに,古本の整理をしてます。

 ご紹介するのは,1958(昭和33)年発行の,平凡社「家庭の百科」(定価380円)です。




 1958年というと,私の両親が結婚したころですから,新生活に備え購入したのかもしれません。

 パラパラとページをめくってみると,当時の日本の家庭生活が本当によくわかります。

 例えば「洗濯」。
 「最小限度の洗濯用具」として「木製たらい,洗濯板(片面平),瀬戸引洗面器,洗濯ばけ(動物性,植物性各1)・・・」,また,「基本の洗濯法」として「踏み洗い,もみ洗い,つかみ洗い,ふり洗い,たたき洗い,板もみ洗い・・・の11種の洗い方があるが・・・」といった具合で,まだ電気洗濯機が十分普及していない時代だったのですね。
 電気洗濯機についても説明がありますが,洗濯機の仕組み(「攪拌式,噴流式,回転式,振動式の4種がある」と書かれています)やそれぞれの特徴の比較,感電などの注意事項など,初めて購入する人を対象とした説明になっています。

 「台所用品」の章では,
・トースター:電熱によって食パンを焼く器具で,雲母板にニクロム線を巻いて・・・。
・電気釜:電気を利用して炊飯する器具で・・・特長は火の調節をする必要がなく,炊き上がれば自動的にスイッチが切れること・・・。
・魔法びん:高温または低温の液体を保存する容器で,熱いもので24時間,冷たいもので48時間くらいもつ。
・氷冷蔵庫:氷がとけて水になる時,周囲のものから熱(液化熱)をとる。この性質を応用した冷蔵器が氷冷蔵庫で・・・。

 この頃は,今思えば「こんなもの?」というようなものが,本当にありがたいものだったのですね。

 冷暖房も扇風機とストーブの効率的な使い方を中心に説明がされています。省エネの基本が解説されていますね。

 そのほか,
・ラジオ(鉱石ラジオ,5球スーパー・ラジオなど)
・テレビ(ブラウン管,アンテナ,受像機など)
・電気蓄音機(SP盤,LP盤,EP盤)
・電話(切替電話,メモ電話,着信専用電話など)
などの説明を読むと,これまでの進歩の速さを改めて感じます。
 電話はちょうどハンドルを回して交換局を呼び出す磁石式から受話器を持ち上げるだけで交換局につながる共電式に代わっていった終わりの頃のようです。
 また,「電話線や局内の設備や架設の割当が少ないため,なかなか電話を新設することができない。そこで電電公社では架設の順序をきめている。」と書いてあります。私が幼い頃,両親は,電話を近所の家に借りにいったものです。ようやく家に電話が引かれた日,母がかなり長時間,知り合いに電話をかけていたことを思い出します。

 子どもの頃,父のボーナスがでると,こういう新しい便利なものが少しずつ増えていき,初めてスイッチを入れて動いたとき,音が出てきたときの家族みんなのうれしそうな笑顔を急に思い出してしまいました。

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